車を運転する人が一度は通るであろう関門の一つ。
それは冬の朝フロントガラスが凍っていることではないでしょうか?
いざ出かけようとしたらフロントガラスに氷がびっしり!
ワイパーを動かしても除去できず、洗浄液をかけても焼け石に水・・・
そんな経験、車を運転する人は一度は経験していませんか?
急いでいる時に限って凍ってたりするんですよね・・・
かと言ってそのまま発進するわけにも行きませんからね・・・
気の短い人は『熱湯ぶっかけて溶かせば良いじゃねぇか!』とか考えそうですが、それは絶対にやってはいけません!!
良いですか?熱湯をかけるのは絶対にやってはいけません!!
なぜ2回言ったんですか・・・?
大事なことなので。
そこで今回は、
- そもそもなぜフロントガラスが凍るのか
- 熱湯をかけてはいけない理由
- フロントガラス凍結に対する2通りのアプローチ
について解説していこうと思います。
そもそもなぜフロントガラスが凍るの?
ただ気温が低いだけではフロントガラスは凍りません。
逆にそこまで気温が低くなくてもびっしりと凍りつくこともあります。何故なのか?
フロントガラスが凍結する原因、それはズバリ放射冷却という現象によるものです。
ではその放射冷却というのはどんな現象なのか?それを解説していきましょう。
放射冷却現象とは?
放射冷却(ほうしゃれいきゃく)とは、高温の物体が周囲に電磁波を放射し温度が下がる事。身の回りのあらゆる物においても日常的に見られる現象(例:熱いフライパンを放置すれば冷める)。
wikipediaより引用
簡単に言えば『温かいものが冷める』ってことです。
この『温かいもの』には、日中太陽で温められた地面にも適用されます。
温められた地面が夜になって冷める。これも立派な放射冷却です。
でもそれだと毎日凍るんじゃないですか?
もちろん他にも条件があるよ。
放射冷却でフロントガラスが凍る条件は?
先程も言った通り、放射冷却は『温かいものが冷める』現象です。
極端な話、夏でも放射冷却は起きています。
もちろん夏の朝フロントガラスが凍ってた!・・・なんてことは少なくとも日本ではありえません。
放射冷却現象の中でも条件があります。
その条件の1つ目は至ってシンプル。気温です。
氷が溶ける気温で放射冷却が起ころうが凍りつくわけないですよね。
では次、条件の2つ目。
放射冷却の強度とでも言いましょうか。こっちが重要なのです。
上にも書きましたが、放射冷却とは高温の物体が電磁波を放射し温度が下がることを言います。
ではこの『高温の物体』の定義は何なのか?
答えは『絶対零度よりも温度が高い物体』。
絶対零度とは、普段聞き慣れている摂氏で言うところの-273.15℃です。
理屈だけで言うなら、放射冷却で絶対零度まで温度は下がります。
でもそんなの見たことありませんよ?
あくまでも理屈『だけ』で言うなら、だからね。
実際はそうなる前に太陽などの熱源があるので下げ止まるわけです。
さて次の問題。放射した電磁波はどこへ行くのか?
答えは、宇宙まで行きます。
宇宙ですか!?
宇宙の気温は低いときで-270℃くらい。
なのでどんどん電磁波が放出されて温度が下がっていくのです。
そして空気中の水蒸気やフロントガラスに付着している汚れが凍りついて、フロントガラスの凍結に繋がるわけです。
『熱湯をかける』は絶対にNG!!
凍ってるなら温めて溶かせば良い。
誰もがまずはそこに行き着くと思います。
しかし、何度でも言います。絶対に熱湯をかけてはいけません!!
本当に何度でも言ってますけど・・・何故なんですか?
理由は2つあります。
1つ目は熱湯がすぐに冷えて凍ってしまうからです。
熱湯がすぐ冷えて水になり、氷になってしまっては何の意味もありません。
一時しのぎにもなりません。
2つ目は、下手するとフロントガラスが割れます。
割れる!?
世の中のあらゆる物体は温度が上がると膨張します。
フロントガラスももちろん該当します。
凍ったフロントガラスに熱湯をかけると急激な膨張による形状の変化に耐えられず、割れてしまう可能性が出てきます。
割れたら当然交換しないとダメです。高く付きますよ?
物によっては十万以上掛かる恐れもあるから要注意!!
ひえぇ・・・
有効なフロントガラス凍結対策は何?
熱湯をかけてはいけない理由はお分かりいただけたと思います。
では有効な対策は無いのか!?
そんな事はありません。ちゃんと有効な対策はあります。
ではその有効な対策を紹介していきましょう。
対策その1:凍らないようにする!
凍るのが大変なら凍らないようにすれば良いじゃない!という理論です。
上でも述べた通り、フロントガラスが凍る条件は『気温』と『放射冷却の強度』。
気温はどうしようもないので、放射冷却の強度を弱めてやれば良いわけです。
そんなこと言ったって、どうすれば・・・?
先程放射した電磁波は宇宙まで行くと言いました。
しかしそれは、『遮るものが何も無い場合』です。
ここに気温が低くてもフロントガラスが凍らない理由があります。
結論から言うと、フロントガラスが凍るのは晴れの日!曇りの日はフロントガラスは凍りません!
放射された電磁波が雲に遮られてそこでストップするからです。
遮るものがあれば放射冷却の強度は弱くなります。
この『遮るもの』は雲である必要はないです。
屋根の下に車を停めるだけでも効果はバッチリです。
屋根が無いところに停めるしかない場合は、フロントガラスに凍結防止シートや毛布をかぶせてもOKです。
対策その2:氷を溶かす!
うっかり凍らない対策を忘れ、フロントガラスがびっしり凍ってしまった場合。
これはもう氷を溶かすしかありません。
急激に熱を加えるのはダメですが、ゆっくりなら大丈夫。
エンジンを掛けてしばらく待つなりデフロスター(くもり取り)を起動させるなり・・・
しかしそれでは時間がかかります。
急いでいる人は解氷スプレーを使うと良いでしょう。
これを使うと簡単に氷は溶けます。
ホームセンターなどで簡単に買えるので、車の中に1本常備しておいても良いのではないでしょうか?
また、自作も比較的簡単です。
水とアルコールを1:2の割合で混ぜるだけ。
アルコールは-114.5℃にならないと凍らないので、面白いように氷が溶けます。
再凍結や割れる心配もありません。
【まとめ】解氷は自分にあったやり方で
フロントガラスの凍結対策は様々な方法があります。自分に合った方法で対策をとることをおすすめします。
間違った方法では車の部品を傷つけてしまうこともあります。せっかくの愛車、大事に乗っていきたいですよね。
くれぐれも安直な考えで熱湯をかけるのだけはやめましょうね!
まだ言いますか・・・
本当に、大事なことなので。